万物に片想い!!(byいわしー)

役者でプログラマーでなまけもののブログ

七月、街灯、神田川。

本当に何年ぶりかに高校時代の同級生と飲んで錦糸町からの終電は23:42の総武線三鷹行だった。

先に反対側に乗る友人にまたなと言って、電車が発進するまで見ていようか背こうか迷うけど、今までのいくつかの後悔を元に最後まで見ていた。

発進してふとドアの窓から友人が顔を出してくれて手を振りあった。心根の優しい奴なんだよな君は。

終電は飯田橋有楽町線に乗り換える。飯田橋の乗り換えは普通の乗り換えではない。一旦地上に出て歩かないといけないのだ。たらたらしてると逃してしまう。電車のドアが開くのと同時にホームをスタスタと歩いていると前にいる女性がイヤホンを落とす。iPhone付属のやつ。自分でも驚くほど速やかに拾って女性に渡す。少し酔っ払ってるくらいの方が何も考えなく行動できるものかもしれない。相手の「ありがとうございます」の言葉もそこそこにすたすたとエスカレーターを上り改札を出る。目の前に夜の空が広がって、神田川沿いには街灯とビルの明かりが並んでいた。後ろを歩いていた二人連れの女が「なんかエモいわ」と言う。そう。飲んだ後の夜はエモいんだ。画像ソフトでコントラストをバカみたいに掛けたような目の痛いエモさは安直な私の心を普通に打つのだった。でも考えてみれば十代の頃は昼間の空だってエモかった。部屋の中だって、なんの変哲もない近所の路地だって時によってはエモかった。大人になった私はもう夜にしかエモさを感じられないのかなんて考えたりする。

有楽町線のホームに入って池袋まで、池袋のホームでまた急いで乗り換えのホームへ向かおうとするが歩いてる駅員さんの横では速歩きくらいに速度を落とす。学校の廊下で先生の横を通る時のようだと思って少しおかしくなる。ホームで走るのは危ない。何もおかしいことはないだろう。

私の人生は雨が降って蒸発するくらいの些細な事象だとしても、その当人である私には前方に二つの眼がついていて、そこに映る人がいて。私が雨粒の一つだったとしても、この記憶がどこにも誰にも引き継げないとしても、そんな一粒から覗く景色がこんな景色なら一粒というのはそれなりに大層なもので。そんな一粒として生きられるならそれはそれでいいのかもしれないと思った私は今最寄りの駅から自転車に乗るところです。それでは皆さん、おやすみなさい。